百錬ノ鐵

百合魔王オッシー(@herfinalchapter)の公式ブログです。

牧村朝子

「男のレズビアン」を擁護する牧村朝子氏の論点ずらし(+百合魔王オッシーの牧村朝子氏に対する所感)

「男のレズビアン」をめぐる前回の記事の続きである。 「男のレズビアン」は男性によるレズビアン・アイデンティティの簒奪にすぎない https://ossie.hatenablog.jp/entry/2018/06/10/181110 そも牧村朝子氏が自身のブログで「男のレズビアン」について取り…

「男のレズビアン」は男性によるレズビアン・アイデンティティの簒奪にすぎない

(2018年7月13日 追記) Malesbian……メイレズビアン。 男性を意味するmaleと、レズビアンとをくっつけた言葉だ。DIVAでの説明文はちょっと悲しいことになっている。「自分で自分をレズビアンだと思っている、無害だけどちょっぴりブキミなストレート男性」。…

「レズビアン」は“時代遅れ”?〜牧村朝子×きゅんくんの「cakes」対談に寄せて

(2018年3月31日 加筆修正) 「 性」もそれ以外も、自分をカテゴライズしないと決めてる理由/牧村朝子×きゅんくん【前編】|QREATOR AGENT https://cakes.mu/posts/17550 あえて「私はレズビアン」って言わない きゅんくん 自分のことシスジェンダー(出生時…

「性的発達論」のヘテロセクシズムを隠蔽する、牧村朝子の奇怪なフロイト擁護〜『同性愛は「病気」なの?』批判

かつては「レズビアン・タレント」として注目を呼びながら、現在は「レズビアンを(名乗ることを)やめたタレント」としてマスメディアで発言する牧村朝子が、前著『百合のリアル』に続き、星海社新書から『同性愛は「病気」なの? 僕たちを振り分けた世界の…

平成26年度東京都知事選・宇都宮健児候補は《同性カップルの相続権》に“反対”していた?

(2016年5月6日 加筆修正) 「2CHOPO」内『【東京都知事選挙2014】立候補者に聞いた、セクシャルマイノリティについての6つのこと。』 http://www.2chopo.com/article/684/[1/27回答]宇都宮けんじ(67)/無所属 ●質問2:米最高裁が連邦法である「結婚防衛法(DO…

「差別」に脅かされる当事者を追いつめる“妖怪どっちもどっち”の陥穽〜牧村朝子『百合のリアル』(8)

(2015年7月11日 加筆修正)第7章『ホモフォビアとホモフォビアフォビア』の中で、牧村はレズビアンの講師の言葉を通して次のように述べている(p.223)。 「(前略)女性同性愛者を感覚的に気持ち悪いと思う人自体が魔法のように消えていなくなるわけではな…

〈異性愛男性〉を《レズビアン差別》に追いやる「草食系男子」という“恫喝”〜牧村朝子『百合のリアル』(7)

(2016年3月5日 加筆修正)先述のとおり第7章には『ホモフォビアとホモフォビアフォビア』というタイトルが付けられており、その中には『「差別する人たちを差別する」ことの果てしなさ』と題された節もある。わざわざ一章を割いているくらいだから、牧村に…

「差別表現」自体を擁護・追認するこの国の風潮〜牧村朝子『百合のリアル』(6)

さて「性的マイノリティ」に目を向ければ、この国ではいまのところ、公の場において在日コリアンに向けられるほどの激しいヘイトスピーチに晒される事態は起こっていない。牧村の「差別」に対する感覚の鈍さもそこに起因するのだろうか。また、この非対称を…

「差別する人たちを差別する」というレトリック自体の“差別性”〜牧村朝子『百合のリアル』(5)

(2015年3月11日 加筆修正)次に、第7章のタイトルに冠している『ホモフォビアとホモフォビアフォビア』という物言いである。同章には《「差別する人たちを差別する」ことの果てしなさ》と題された節も含まれている(p.224)。牧村は、講師役のキャラクター…

「レズAV」に「現実」を求めることの不毛さ〜牧村朝子『百合のリアル』(4)

なお「レズAV」のSEXが現実のレズビアンのSEXと違うという紋切り型の批判もなされているが(p.155-156)、例によって具体的にどこが違うのかという説明がない。登場人物の台詞に「AVって、男女ものでも現実と全然違うことがほとんどじゃん」という…

「レズAV」の嗜好を「セクハラ」と同一視する偏見〜牧村朝子『百合のリアル』(3)

(2015年3月11日 加筆修正)さて、そうした“客観的”な「情報」をめぐる解釈や記述の問題とは別に、牧村個人の主観、あえて言えば「偏見」を露呈している部分も散見する。たとえば《「レズもの」のAVが大好き》という男性のセクシュアリティについて、《レ…

《「同性愛者」であること》と《「レズビアン」であること》〜牧村朝子『百合のリアル』(2)

しかし、そのような本書の意義をじゅうぶん踏まえた上でも、いくつか重要な指摘をしなければならない。まず《「(女性の)同性愛者」であること》と《「レズビアン」であること》を同一視している点。その認識は『同性愛者であることの苦痛を和らげる方法』…

牧村朝子『百合のリアル』を読む(1)

『百合のリアル』(牧村朝子 星海社新書) レズビアンをカミングアウトしている女性タレントの牧村朝子が、レズビアンを含めた、いわゆる「性的少数者」に関する様々な疑問について、架空のキャラクターによる会話形式で解説する。 かつてレズビアンは「百合…