(2021年1月11日 タイトル変更/加筆修正)
「ゲーマーズ」と「アニメイト」と「書泉」が、3社合同で百合コンテンツをプロモートする「百合部」という企画があります。
百合作品の新刊には、それぞれの店舗特典とは別に「百合部」に加盟している店舗限定の特典が付く場合もあり、私も日頃からチェックしているのですが。
その中の一つである「ゲーマーズ百合部」の公式アカウント (@gamersyuribu)が、なにやら引っかかるツイートをしていました。
やっぱり百合を語るのは女の子に限るよ・・・(K)
— ゲーマーズ百合部 (@gamersyuribu) 2021年1月9日
今更言うまでもありませんが、百合コンテンツのユーザーの男女比率は半々くらいです。
そうした百合コンテンツのユーザーを相手に商売をしているはずの「ゲーマーズ百合部」の公式アカウントが、男性ユーザーの百合コンテンツの楽しみ方を一方的に規制するような物言いはいかがなものでしょうか。
そして、これも言うまでもありませんが「女性」であれば誰もが女性同士の恋愛に共感できるわけではありません。女性の中にもホモフォビア(レズボフォビア)はありますし、女性を愛する心理については女性異性愛者よりも男性異性愛者のほうが共感しやすい側面もあるでしょう(もっとも女性の百合作家の大半が異性愛者という実情もあり、いずれにせよ人間のセクシュアリティに頭で考えた理屈は通用しません)。
そもそも「女性」に限るではなく「女の子」という言葉選びからして、エイジズム・ルッキズムとロリコン趣味丸出しで最低です。まさに「女性」同士の恋愛を、思春期特有の擬似恋愛と決めつける異性愛至上主義の差別意識が露呈しています。だいたい「社会人百合」はどうなるのか。
ちなみに「ゲーマーズ百合部」のプロフィールにある位置情報には《百合っぷるの後ろ》と表示されています。女性カップルを視姦しているようで、ひじょうに気持ち悪いです。
男性の「百合萌え」に関する批判は、主にフェミニズム的な《性的消費》の観点からなされることが多いと思いますが、「ゲーマーズ百合部」にそうした観点はなく「女の子」「百合っぷる」を娯楽コンテンツとして“消費”する自らの権力性についても無自覚です。もっとも権力性を自覚したからといって「百合萌え」をやめるべきだということにもなりませんが、自覚すらないのはどうなのか。
もとより文化事象としての百合コンテンツを消費・鑑賞することと、現実のレズビアンないし女性カップルを“性的消費”することは、まったく別問題のはずです。しかし両者がしばしば混同されることから、不毛な「百合バッシング」の論拠に利用されています。
それを《百合の魅力を大いに主張したい!というスタッフ有志》が自ら混同することは、むしろ「百合の魅力」を主張するどころか誤解・偏見を助長する行為でしょう。
「同じ女性」であれば「百合」を理解・共感できるっての、まさに男目線のありがちな都合の良い幻想でしかないよね🤣 https://t.co/0EJOsFuKJo
— 百合魔王オッシー (@herfinalchapter) 2021年1月10日
あと「女の子」ってのもねえ……社会人百合とかどうなるんだろう🤔 https://t.co/0EJOsFuKJo
— 百合魔王オッシー (@herfinalchapter) 2021年1月10日
(2021年1月11日 追記)
「ゲーマーズ百合部」のツイートに対して、引用リプの形で上掲の突っ込みを入れたところ、直後に公式からミュートされてしまいました。
当記事はその件について報告したものですが、中の人の目に留まったのか、ミュートが解除されたようなので、タイトルを変更しました。
ちなみに、なぜミュートされたのが分かったかというと、ツイートの「引用リツイート」に私のツイートが表示されなくなっていたからです。
しかし、いち消費者からの意見をコソコソとミュートしたり解除したりするくらいなら、余計な自己主張などせずに店舗特典情報のbotに徹していればいいと思うのですが……。