一ノ瀬文香『REAL BIAN』登場人物リスト&ストーリー・ダイジェスト
(2014年12月24日 更新)
「漫画ゼロワン」で配信中の『REAL BIAN』(原作:一ノ瀬文香 作画:水戸雫)が第13話をもって終了し、いったん区切りがついたところで、登場人物と各エピソードの粗筋をまとめてみました。末尾には総評も加えてあります。
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登場人物リスト
※()内は登場した回を示しています。
一ノ瀬文香(1〜13)
主人公。高校時代は女子校に通い、上京後、アート系の専門学校に通う傍ら、新宿二丁目のミックスバーに勤務する。
あだ名は「いっちぃ」。店子ネームは「ビー」。レズビアンとしての属性は「フェムタチ」。
つきちゃん(2〜4)
本名は「正月(まさつき)」。【文香】が初めて恋人として交際した女性。【文香】とは高二で知り合い、高三で告白を受け(SEXも経験)、大学1年の時に晴れて恋人関係となったが、大学2年の時、幼馴染の【まさみちゃん】に心変わりして【文香】を捨てる。
まさみちゃん(4)
【つきちゃん】の幼馴染。「中性的な雰囲気の女のコ」だったという。
文香の男友達(4)
フェミニンな美少年。【つきちゃん】に振られ自暴自棄になっていた【文香】によって、女装をさせられた上に「逆姦」を受ける。
みーちゃん(4,9〜11)
【文香】の飼い猫。【つきちゃん】に振られた後、路上で拾った。
原まい(5〜8,10〜13)
二人目の女性の恋人。レズビアンバー「キンズウーマン」で出会った、8歳上のボーイッシュな「バリタチ」。
かつて【翔太】という店子ネームで新宿二丁目のバーに勤務していたものの、【文香】と交際を始めた当初はニートだった。
自傷癖と酒乱の傾向がある。【文香】とは、喧嘩の際に暴力を振るったため別れを告げられるも、【文香】が【優香ちゃん】と別れた後によりを戻す。その後、レズビアンバーを開店。
落合さん(8〜9,12)
【文香】の店に通うカメラマン。ニューハーフの店で【文香】の写真を撮る。
あきさん(9〜10)
「ダイアモンドカッター」で知り合ったレズビアン。【たかさん】と同時進行で愛人関係にあったが、キス止まりでSEXは拒んだ。
優香ちゃん(11)
三人目の女性の恋人。【たかさん】主催のキャンプで知り合った「フェム」で、年上の社会人。キャンプ中、すでに恋人がいたにもかかわらず【文香】と肉体関係をもち、後日の飲み会で恋人宣言されるも、後に【文香】の方から別れを切り出される。
はっちゃん(10〜11)
【たかさん】の女友達。自宅のパーティーに【文香】を招き入れる。同性の恋人を事故で失っている。【文香】が【たかさん】【あきさん】らを前に【優香ちゃん】との恋人宣言を行なった飲み会で、気まずい雰囲気になったのをフォローしてくれた。
ストーリー・ダイジェスト
第1話 カミングアウト
中学生時代、男子生徒と交際するも肉体関係にまでは進展しなかった【文香】だが、女子校に進学した直後、クラスメイトとSEXを経験したことから、自身がレズビアンであることを意識し始める。
第2話 初めて想った女の子
女子校時代、【文香】は【つきちゃん】と出会い、肉体関係までもつようになるも、まだ恋人の関係にまでは至れなかった。
第3話 ワタシの初春
上京し、大学に進んだ【文香】は、ようやく【つきちゃん】と結ばれる。
第4話 空白の訪れ
【つきちゃん】との同棲生活が始まろうとしていた矢先、【つきちゃん】の心変わりによって一方的に別れを告げられた【文香】。自暴自棄のあまり男友達を「逆姦」する。
第7話 身近な同級生たち
大学のクラスメイト、かつての僚友、そして【まい】との生活。
第8話 許せないこと
【まい】のリストカットを必死に止めようとする【文香】。ミックスバーの店子としてアルバイトを始めるも、客として出入りするようになった【まい】の酒癖の悪さから喧嘩になり、暴力を振るわれたことで別れを選ぶ。
第9話 広がる世界と空洞
【まい】と別れた【文香】は、店の客であった【さおりさん】と肉体関係をもち、「ダイアモンド・カッター」で後に愛人となる【たかさん】【あきさん】と出会う。
第10話 深・心・真
【たかさん】【あきさん】【さおりさん】、そして別れたはずの【まい】との間で揺れる【文香】の心。
第11話 精算
【たかさん】主催のキャンプが開かれ、【文香】はそこで出逢った【優香ちゃん】と交際を始める。後日開かれた飲み会において、【文香】は【たかさん】【あきさん】の前で【優香ちゃん】との関係を告白し、両者との愛人関係を精算する。しかし、他者に心を開けない【文香】は、ほどなくして【優香ちゃん】とも訣別するのだった。
第13話 得たもの
【まい】のレズビアンバーが開店するも、【文香】は店の空気に馴染めず、孤独感を募らせていく。
総評
様々な女性たちとの肉体関係、男友達への「逆姦」、そして自殺未遂。レズビアンのカミングアウトを抜きにしても、アイドルのイメージからすればタブーとされていることを赤裸々に告白している点は興味深い。
しかし、その一方で「ノンケのためのセクマイ講座」という趣向も取り入れたため、作品としては散漫な仕上がりとなってしまった。とくに、最終話のラストで【文香】が自殺未遂する経緯がまったく描かれておらず、読者を置き去りにしたまま自己完結した印象を受ける。
作画担当者の水戸雫は、目立ったキャリアのない無名作家。後藤羽矢子から精気が抜けたような頼りないタッチはともかくとして、散見する不自然な台詞回しや、各エピソードのタイトルに象徴される垢抜けなさはいただけず、プロのレベルに達しているとは言いがたい。