百錬ノ鐵

百合魔王オッシー(@herfinalchapter)の公式ブログです。

【まとめ】まさに「クィア・ベイティング」の見本のような『琴崎さんがみてる』は異性愛至上主義の下に「百合」を貶める“男尊女卑”ラブコメディだ! #琴崎さんがみてる

ブログに先立ち、Twitter上で『琴崎さんがみてる 俺の隣で百合カップルを観察する限界お嬢様』五十嵐雄策・著 弘前龍・原案 KADOKAWA電撃文庫 ※なお本稿では「原案」の弘前龍を「原作者(作者)」と位置づける)に対する批判を投稿していたところ、

《百合垢です。百合は生きる希望。》と称するフォロワー数1千以上を誇る大手百合アカウント(@katoyama1)から、次のような反応が寄せられた。

名指しこそされていないものの、私のツイートにはそれなりの反響があり、実質的に私(百合魔王オッシー)という個人を当てこすっているものと思われるので、この場でお答えしよう。

まず『琴崎さん』をめぐる今回の一件にかぎらず、文芸作品を批評する上で、実際の内容(本文)を引用することは、むしろ必要不可欠だ。

たんなる印象批評では説得力がないし、ソースを提示することで資料性が高まると同時に「悪意をもって、原文を必要以上に悪しく歪めているのではないか」という疑問を払拭することができる。

あげく他人を「自粛警察」呼ばわりしながら、自身の「不快」「嫌だな」という“おきもち”を理由に、見ず知らずの他人の批評行為に“自粛”を要求するという、なんとも矛盾に満ちた、傲慢な物言いである。

それこそ「自粛警察」「民意の暴走」「ネット私刑」でなくて、いったい何なのか?

健全な批評なくして、表現文化の発展は望めない。このようなアカウントがフォロワー数1千以上というのだから、百合文化がいつまでたってもニッチな隙間産業から脱却できない要因の一端(さらには「出る杭は打たれる」という日本型“ムラ社会”の同調圧力)を見た思いで、腹が立つというより、むしろ情けなくなってきた。

もっとも、その“おきもち”自体は理解できる。たとえ批判が目的であるとはいえ、購入してしまうことで劣悪なコンテンツに金が落ちるという“炎上マーケティング”に加担することに変わりないのではないか? という危惧もわからないではない。

私も、仮に『琴崎さんがみてる』が、何処の馬の骨だかわからない無名の素人が書き散らかした同人作品(あるいは成人向けのポルノグラフィ)であったなら、スルーを決め込んでいただろう(さらに言えば、上掲した「誹謗中傷」がフォロワー数一桁二桁の弱小アカウントによるものであったなら、こうしてブログ上で取り上げることもなかった)。

しかし『琴崎さんがみてる』は、KADOKAWA電撃文庫という業界最大手のライトノベル・レーベルから出版された商業作品であり、

また発売前の時点から百合コンテンツのユーザーからの猛烈な非難を浴びて“炎上”するという異例の事態を迎えたことで、良くも悪くも世間の注目を集める結果となってしまった。

加えて、真摯な百合ファンの怒りの声が殺到する一方で

「(百合萌えという)特殊な嗜癖をもつ、一部の声の大きな“ノイジーマイノリティ”が騒いでるだけ」といった無理解な冷笑が散見したことも事実だ。

そこをいくと、

身勝手な“おきもち”を盾に、自分の気に食わない作品だとか、あるいはそれに対する自由な論評を排除してもいいと信じて疑わない、

世間知らずの「限界系百合オタク」たちは、

そのような自らの立ち振る舞いが、不特定多数の他者にどのような心証を与えるかという視点に欠けている。

いちユーザーの立場としては、不快なコンテンツから目を背けるのも自由であろう。しかし『琴崎さんがみてる』は、たんに百合愛好者たちが不快に感じているというだけでなく、

その内容が異性愛至上主義」「男尊女卑」という“差別性”に立脚していることが問題である。

『琴崎さんがみてる』は「百合」を題材にしながら、そうした「百合」の本質と真逆の「異性愛至上主義」「男尊女卑」に依拠することで「百合」を貶める作品であり、

なおかつ原作者・弘前龍をはじめとする制作者および関係者(宣伝に利用されたVTuberも含めて)が、その“差別性”にまるで無自覚であることが批判に値する。

そうしたコンテンツの“差別性”を明確に言語化しないまま、ただ「単純にその内容が不快」「嫌だな。TLに流れてきて欲しくないな」などといった“おきもち”をブツブツと呟いているだけなら、それはただの「ワガママ」と切り捨てられ、今後、似たような差別的コンテンツが量産される事態に甘んじるほかなくなるだろう。

よってここに、実際の本文を引用しながら『琴崎さんがみてる』および原作者・弘前龍に対する徹底批判を、合計6ページに亘って展開する。

前編 原作者・弘前龍の言説

中編・上 公式ページの「試し読み」

中編・下 YouTubeのプロモーション・ビデオ

後編 実際に作品を購入し、読破した結果 ※ネタバレ有

総括 一連の問題の根源とは? ※ネタバレ有

追記 原作者・弘前龍の「百合萌え」とは?

そして『琴崎さんがみてる』にかぎらず、実際の内容を引用しながら批判するという手法は筆者の基本姿勢であり、

見ず知らずの誰かの“おきもち”に忖度して、それを“自粛”する意思は毛頭ないことも、ここに宣言しておく。